米ビルボード・チャート史上最も神聖な記録のいくつかが、2024年にさまざまなジャンルのスーパースター・アーティストや注目すべき新人アーティストによって塗り替えられた。

　ビリー・レイ・サイラスをフィーチャーしたリル・ナズ・Xの2019年の大ヒット曲「Old Town Road」が、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で19週という首位の歴代最長記録を樹立した後、同じくカントリーとヒップホップのハイブリッド曲であるシャブージーの「A Bar Song (Tipsy)」が今年7月から同じ期間首位を独占した。

　アルバム・チャート“Billboard 200"では、テイラー・スウィフトが5月に発表したアルバム『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』で14回目の1位を獲得し、ソロ・アーティストとしてはジェイ・Zと並んで最多タイ記録を樹立した。また、彼女はその週のHot 100で1位から14位までを独占した。首位以下のチャート順位を連続して占めた楽曲数としての最多記録だ。

　他にも、ビヨンセが米ビルボードのカントリー・チャートで歴史に残り、サブリナ・カーペンターとケンドリック・ラマーがザ・ビートルズと並ぶ偉業を達成したほか、マックス・マーティンがHot 100でNo.1を最も多く獲得したプロデューサーとなった。

　さらに、ケニー・チェズニーとティム・マグロウがカントリー・チャートで記録を塗り替え、シャキーラがラテン・チャートで史上初の記録を達成、サックス奏者のボニー・ジェイムスが“Smooth Jazz Airplay”チャート史上、かつて到達されたことのない高みに到達した。

　2024年も終わりに近づき、2025年にはさらに多くの歴史が作られることになるだろう。2024年に米ビルボード・チャートで達成された24の最高の栄誉を数字で振り返ってみよう。

◎映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』＜6＞

　半世紀以上にわたり、ロアルド・ダールの1964年の小説『チャーリーとチョコレート工場』から生まれた楽曲は、3本のヒット映画、ブロードウェイ・ミュージカルなどを通じて米ビルボードの調査を甘くしてきた。

　このシリーズの最新作は、有名なショコラティエ、ウィリー・ウォンカのキャリアの始まりを描いた映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』だ。この映画のサウンドトラックは、1月に米ビルボードの“Soundtracks”チャートで6位にランクインした。さらに、ウォンカ役のティモシー・シャラメが歌う主題歌の1つ「Pure Imagination」は、“TikTok Billboard Top 50”チャートでヒットとなった。

◎故ディーン・マーティン＜72＞

　伝説的なエンターテイナーだったマーティンの「It’s Beginning to Look a Lot Like Christmas」がレコーディングされてから約72年後、2024年11月にこの楽曲が“Adult Contemporary”チャートに登場した。10月14日にようやくリリースされたのだ。プレス・リリースによると、1951年に故メレディス・ウィルソンが書いたこの不朽の名曲をマーティンが録音した音源はこれしかなく、彼がレコーディングした中で最も古いホリデー・ソングだ。このパフォーマンスは、マーティンと故ジェリー・ルイスが主演した米NBCのラジオ番組『ザ・マーティン・アンド・ルイス・ショー』の一部として、1952年12月16日に放送された。マーティンの「It's Beginning to Look a Lot Like Christmas」の新しいアニメーション・ビデオも11月に初公開された。

◎故ジョン・デンバー＜TOP40＞

　フォーク＝カントリー界のレジェンドの故ジョン・デンバーは、8月にmgk（旧マシン・ガン・ケリー）とジェリー・ロールの「Lonely Road」のソングライターの一人としてHot 100のTOP40に返り咲いた。この楽曲は、1971年に全米2位を記録したデンバーのレコーディング・アーティストとしての出世作「Take Me Home, Country Roads」を再解釈したもので、過去10年間で2度目となる同曲でのTOP40へのカムバックを果たした。2016年10月には、カントリー界のスターが集結したアーティスツ・オブ・ゼン・ナウ・アンド・フォーエバーによる「Forever Country」が21位にランクインした。この楽曲は【カントリー・ミュージック協会賞】（CMAアワード）の50周年を記念してリリースされたもので、「Take Me Home, Country Roads」、ドリー・パートンの「I Will Always Love You」、ウィリー・ネルソンの「On the Road Again」の3曲をマッシュアップしている。

◎ザ・アウトフィールド＆ディプロ＜1986年＆2024年＞

　最初にヒットしてから38年後、ザ・アウトフィールドの「Your Love」が米ビルボード・チャートに再びランクインした。 1986年にHot 100で6位を記録したポップ・ロックの名曲が、2024年4月にGlobal 200にランクインした。また、ディプロによる新たなバージョン「Your Love (Remix)」が5月に“Hot Dance/Electronic Songs”チャートに初登場し、“Dance/Electronic Song Sales”チャートでもTOP10入りを果たした。原曲が新たに解釈されたことにより、ザ・アウトフィールドは1992年以来初めて、新たにリリースされた楽曲でチャート入りを果たした。

◎ロゼ＜2億回以上＞

　ルミネイトによると、11月にロゼとブルーノ・マーズの「APT.」は、世界で2億2,450万回のストリーミング再生を記録した。2週目には2億750万回が追加され、2020年にGlobal 200が開始されて以来、複数の週で世界で2億回以上のストリーミング再生を記録した初の楽曲となった。

　この楽曲は、米ビルボードのHot 100でも8位に急上昇し、BLACKPINKのメンバーであるロゼは、K-POP界で著名な女性アーティストとして初めて同チャートのTOP10入りを果たした。一方、ブルーノにとってはHot 100で記念すべき20回目のTOP10入りという節目を記録した。

◎ビリー・ジョエル＜24＞

　2月にリリースされた「Turn the Lights Back On」で、ジョエルはAdult Contemporaryで24曲目のTOP10入りを果たした。これ以前に彼がTOP10入りしたのは1997年で、ボブ・ディランの「To Make You Feel My Love」のカバーでだった。注目すべきは、彼が初めてこのチャートに登場してから50周年を目前にした週に、最新のTOP10入りを果たしたことだ。彼がブレイクするきっかけとなり、代表曲となった「Piano Man」が1974年に初登場し、のちに初のTOP10入りを果たした。

◎ブルース・スプリングスティーン＜26＞

　米ビルボード・チャートに初登場してから約50年後、スプリングスティーンは、ザック・ブライアンの「Sandpaper」へのフィーチャリング参加により、“Hot Country Songs”チャートに初登場を果たした（7月に26位）。また、この楽曲によりザ・ボスは15年ぶりにHot 100に返り咲いた。

◎ボニー・ジェイムス＜20 & 21＞

　4月にボニー・ジェームスは米ビルボードの“Smooth Jazz Airplay”チャートでNo.1を20曲記録した初のアーティストとなった。この節目は、ビッグ・マイク・ハート（自身初のチャート・エントリーで首位を獲得）の「Cigar Lounge」でフィーチャーされたことにより達成された。ジェイムスは12月に「Slide」で21曲目の首位を獲得した。

◎SUM 41＜22＞

　SUM 41の「Landmines」は、2024年3月に“Alternative Airplay”チャートで2週にわたって首位を獲得した後、同チャートにおける年間1位となった。このバンドにとって2001年の「Fat Lip」以来となるウィークリー・チャートでのNo.1だったが、首位獲得が22年以上空いたのは同チャート史上最長だった。

◎シャキーラ＜4＞

　4月にシャキーラの『Las Mujeres Ya No Lloran』がTop Latin Albumsで1位を獲得したことにより、彼女は4つの異なる10年間（1990年代、2000年代、2010年代、2020年代）にわたって同チャートで第1位を獲得した初の女性となった。すべてのアーティストの中で、この栄誉を手にしたのはアレハンドロ・フェルナンデスだけだ。

◎チャーリーxcx＜11＞

　チャーリーxcxは、2013年にこのチャートが創設されて以来、年間“Hot Dance/Electronic Songs”チャートの総エントリー数で最多を誇る。11曲のうち、年間6位を獲得した「360」が最高位だ。

◎ソフィー・エリス・ベクスター＜22＞

　映画『ソルトバーン』で使われたことがきっかけとなり、エリス・ベクスターの2002年の全英ヒット曲「Murder on the Dancefloor」が、22年を経てついに全米でブレイクした。この楽曲はHot Dance/Electronic SongsのTOP10に5か月間ランクインし、年間チャートでもTOP10入りを果たした。