2025/12/30 12:00
2025年の米ビルボード・チャートは、記録更新、さらには記録を大幅に塗り替える成果が相次いだ一年となった。
テイラー・スウィフトは、ソロ・アーティストとして米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”における首位獲得アルバム数を15作に更新した。最新の大ヒット・アルバム『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』が初登場1位を記録したことでこの偉業が達成された。同作は、データ集計会社ルミネイトによると、米国での初週に400万を超えるアルバム換算ユニットを獲得。約10年前にアデルの『25』が打ち立てた初週約350万という従来の記録を大きく上回った。
同ソング・チャート“Hot 100”では、マライア・キャリーの「All I Want for Christmas Is You」が首位在位週数20週という新記録を樹立し、2019年に始まった“ホリデー・シーズンのチャート支配”をさらに積み重ねた。
このほかにも2025年には、R&B/ヒップホップ・チャート“Hot R&B/Hip-Hop Songs”史上における単一楽曲の首位在位週数最多記録、単一アーティストによるHot 100のTOP10入り曲数最多記録、そして一つのサウンドトラックから同時に送り込まれたHot 100のTOP10曲数最多記録など、新たな最高到達点が次々と書き加えられた。
ポップからカントリー、ロック、R&B/ヒップホップ、ラテン、ダンスまで、2024年、2023年、2022年、2021年、2020年、そしてそれ以前の時代と同様に、ベテラン勢から新鋭までが米ビルボード・チャートの歴史に新たな章を書き加えた。
2025年も終盤を迎え、そして2026年に向けてさらなる歴史更新が確実視される中、ここでは2025年に達成された米ビルボード・チャートの主な快挙25項目を、数字と達成順に振り返る。後編は、31日正午に公開となる。
◎ロゼ&ブルーノ・マーズ(1)
二人の「APT.」は、2月1日付から5週連続でポップ・エアプレイ・チャート“Pop Airplay”の首位を獲得し、K-POP関連楽曲として同チャートで初めて1位に到達した。
BLACKPINKのロゼは『ビルボード2025 No. 1sライブストリーム』で、「確かにくだらない飲みゲームみたいに聞こえるかもしれませんが、それが多くの人に喜びを届けられる楽曲なのかもしれないと感じています。そんなことはあり得ないと思いながら育ってきた幼い頃の自分にとって、これは本当に大きな意味があります」と述べ、「心から感謝していますし、正直まだ少し信じられない気持ちです」と語った。
◎シャブージー(27)
シャブージーの「A Bar Song (Tipsy)」は、2月8日付のラジオ・ソング・チャート“Radio Songs”で通算27週目の首位を記録した。これは同チャート35年の歴史において最多だ。2020年にザ・ウィークエンドの「Blinding Lights」が打ち立てた26週1位の記録を更新した形だ。
◎エルトン・ジョン(43)
エルトン・ジョンは、3月15日付のアダルト・コンテンポラリー・チャート“Adult Contemporary”で、自身の記録を更新する通算43曲目のTOP10入りを達成。デュエット相手のブランディ・カーライルにとっては、これが同チャート初のTOP10入りとなった。二人の「Who Believes in Angels?」は、同週に1ランク上昇して10位に到達している。なお、同チャートにおけるTOP10入り数では、ジョンに続いてニール・ダイアモンドが38曲で2位、バーブラ・ストライサンドが35曲で3位につけており、記録はいずれも1961年のチャート創設まで遡る。
◎サブリナ・カーペンター(4)
「Bed Chem」は、3月29日付のPop Airplayで1位を獲得した。同曲に加え、先行シングルの「Taste」「Please Please Please」「Espresso」はいずれも、カーペンターの2024年作アルバム『ショート・アンド・スウィート』からの楽曲であり、同作は約10年ぶりにPop Airplayで1位になった楽曲を少なくとも4曲送り出したアルバムとなった。前回この記録を達成したのはテイラー・スウィフトの『1989』で、5曲が2014年から2015年にかけて1位を獲得した。
なお、1992年にPop Airplayが始まって以降、1位になった楽曲を4曲以上輩出したアルバムは、わずか5作品に限られている。
◎ローラ・ヤング(12)
英国からブレイクしたアーティスト、ローラ・ヤングの「Messy」は、4月にオルタナティブ・エアプレイ・チャート“Alternative Airplay”で首位を獲得し、5月17日付のPop Airplayでも1位に到達した。女性が単独でメイン・クレジットを務めるデビュー曲として両チャートを制したのは、2013年のロード「Royals」以来、約12年ぶりとなる。
◎ドレイク(81)
「What Did I Miss?」は、7月19日付のHot 100に初登場し、ドレイクにとって通算81曲目となる、そして自身の記録を更新する最新のTOP10入りを果たした。さらに9月までに、ドレイクは総チャート・エントリー数を前人未到の361にまで伸ばしている。
◎バッド・バニー(89)
8月2日付のラテン・ソング・チャート“Hot Latin Songs”で、バッド・バニーの「Alambre Púa」は14位から8位へと上昇し、自身の記録を更新する通算89曲目のTOP10入りを果たした。特筆すべきは、この数字が2017年9月に初のTOP10入りを記録して以降、主に力強いストリーミング実績に後押しされて積み上げられてきた点だ。同チャートは1986年にスタートしている。なお、TOP10入り数ではエンリケ・イグレシアスとルイス・ミゲルがそれぞれ39曲で2位につけている。
7月から9月にかけて、ベニートは母国プエルトリコのホセ・ミゲル・アグレロット・コロシアムで、【No Me Quiero Ir de Aquí】レジデンシー公演を開催した。本人は後に、「これまでに経験したことのないレジデンシーだったでした。いちばんしっくり来る言葉は“ハーモニー”。31公演を通して、ケンカや言い争いが拡散されるような動画は一つもありませんでした。みんながただ幸せで、踊って、愛を分かち合っていたんです」と振り返った。
◎ケンドリック・ラマー(31)
ケンドリック・ラマーとシザの「Luther」は、8月16日付のHot R&B/Hip-Hop Songsで、前例のない通算31週目の首位を記録した。もっとも、過去の記録保持者に気を遣う必要はなかった。同曲は、ラマー自身の「Not Like Us」が保持していた22週1位の記録を更新したもので、その「Not Like Us」もまた、シザの「Kill Bill」が築いた21週1位の記録を塗り替えていた。
◎『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(4)
痛快でアクション満載、かつ心温まる内容で記録的な成功を収めたNetflixの『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』のサウンドトラックが、8月30日付のHot 100で4曲目のTOP10入りを達成した。HUNTR/Xの「How It’s Done」がTOP10に到達し、同曲は8週にわたってチャートを席巻していた「Golden」に続く形となった。さらに同週には、劇中でHUNTR/Xと対峙するSaja Boysも「Your Idol」と「Soda Pop」の2曲をTOP10に送り込み、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』はHot 100史上、同時に4曲のTOP10を生み出した初のサウンドトラックとなった。
◎ビッグXザプラグ&ベイリー・ジマーマン(1&1)
ベイリー・ジマーマンを迎えたビッグXザプラグの「All the Way」は、4月11日付のカントリー・ソング・チャート"Hot Country Songs"で初登場1位を獲得した。さらに9月6日付ではラップ・ソング・チャート"Hot Rap Songs"でも1位に到達し、これらのジャンル・チャート両方で首位を記録した初の楽曲となった。前者は1958年10月に、後者は1989年4月にスタートしている。
◎スコッティ・マクリーリー&フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュ(31)
フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュは1994年7月にブレイク作となったアルバム『クラックド・リア・ビュー』が“Heatseekers Albums”チャートで首位を獲得し、ビルボード・チャートで初の1位を記録した。同作の代表曲には「Hold My Hand」があり、1990年代のポップ・ロックのサウンドを象徴する一曲として知られ、1995年にHot 100で10位に到達している。
それから31年後、この楽曲は再び首位獲得に貢献することとなった。「Hold My Hand」のコーラスを引用したスコッティ・マクリーリーの「Bottle Rockets」が、10月4日付のカントリー・エアプレイ・チャート“Country Airplay”で1位を獲得したのだ。マクリーリーは今年初めに米ビルボードに対し、「Bottle Rockets」が“手助け”を得た経緯について、「まるで手袋みたいに、ぴったりはまったんです」と語った。
◎モーガン・ウォーレン(20)
モーガン・ウォーレンは、テイト・マクレーをフィーチャーした「What I Want」が10月11日付のHot Country Songsで首位在位20週に到達し、同チャートで20週首位を複数回記録した初のソロ・アーティストとなった。これは、2023年に「Last Night」が25週にわたって首位を記録したことに続くものだ。これまでに同様の記録を2度達成していたのはフロリダ・ジョージア・ラインのみで、「Cruise」が2012年から2013年にかけて24週、ビービー・レクサを迎えた「Meant To Be」が2017年から2018年にかけて史上最多となる50週の首位在位を記録している。
◎アレックス・ウォーレン(16)
シンガー・ソングライターのアレックス・ウォーレンによる「Ordinary」は、10月11日付のPop Airplayで最後の首位を記録し、首位在位週数を通算16週に伸ばした。これは、エイス・オブ・ベイスが「The Sign」で1994年に14週にわたって保持していた最長首位在位記録を、31年ぶりに更新するものとなった。
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